もう「言われたことをやる」では生き残れない。今日本人に必要なマインドチェンジ
【2020年の教育問題】を石川一郎氏が徹底解説3/3
明治~戦後、日本が世界と戦うため「言われた通りやる力」が求められた。でも時代は平成、変えていくしかない
シズカ…でもなんでそうなったのかしら。
石川…明治時代の日本は諸外国と食うか食われるかの状況でした。そういった状況では、効率的な軍隊と官僚組織の運営が必要になる。すると、自分の意見を表明し、自分の考えで動くよりも、上からトップダウンで言われたとおりに動く人間を育てるほうが効率的になる。そういった背景があるのです。
トオル…明治時代にまで!
シズカ…今の日本社会と教育が抱える問題。その根はかなり深いのね。
石川…戦後、GHQの統制下で変わろうとした動きはありました。しかし日本が敗戦から立ち直り、ハイスピードで経済復興を果たすためには、企業や社会がトップの号令のもと一致団結し効率よく動く必要がありました。その流れの中で「要約できる力」や「言われたとおりに動く人間」が求め続けられたのです。全部が全部悪いわけではありません。例えば、秩序を乱さない丁寧な対応は日本が世界に誇ることができる部分です。タクシーの扉が空いたり、電車の到着時間がぴったりなのは世界を見渡してもかなり珍しい。しかし、グローバル社会になって、クリエイティブな部分がないと戦えなくなってきた。
シズカ…2020年から改革されるってことだけど、それでも遅すぎたってことね。
石川…そうですね。ただし、やらないよりはマシ。前回のゆとりと違うのは、「さすがにこのままの内容ではマズい」と、政府のみならず世論の声も高まっていること。だからこそ期待はしたいですね。